4月に送る時候の挨拶の、書き出しと結びの例文を紹介します。
本格的に暖かくなり、多くの地域で桜が見ごろとなる4月は、入学や就職に伴う新生活の始まりの月でもあります。
挨拶文では、地域ごとの桜の開花時期などに気をつけながら、春らしい希望を込めたメッセージを伝えましょう。
4月の書き出しの挨拶
漢語調(ビジネスや改まった場面に)
漢語調の挨拶は改まった印象を与えるため、ビジネスレターや儀礼的な手紙に適しています。
4月いっぱい | 陽春の候 仲春の候 春暖の候 麗春の候 春風駘蕩の候 |
桜の咲く時季 | 桜花の候 桜花爛漫の候 |
MEMO
- 「候」は「折」や「みぎり」に置き換えてもOK(例:「陽春のみぎり」)
- 桜の咲く時季は、地域によって3月下旬から5月上旬ごろまで幅があるため、相手の状況を考慮して言葉を選びましょう
和語調(私的な手紙などに)
主にプライベートな手紙で使う挨拶文です。ビジネスレターでも、親しみを込めたメッセージには和語調の挨拶がよく利用されています。
以下の例を参考に、自分で感じ取った季節感を表現してみましょう。
4月上旬の書き出しの挨拶
- 春たけなわの好季節となりました
- 花冷えの続くこのごろ、お障りなくお過ごしでしょうか
- 花吹雪の舞う今日このごろ、お元気でお過ごしでしょうか
- 希望にあふれる春を迎え、ますますご壮健のことと存じます
- 花の宴たけなわの春を迎え、いよいよご清栄のことと存じます
- 桜の花も咲き揃い心華やぐこのごろ、お達者でお暮らしでしょうか
- 桜花爛漫の好季節を迎え、ご清適にお過ごしのこととお慶び申し上げます
- 春宵一刻直千金の好季節を迎え、ますますご健勝のことと拝察いたします
- 春の気配もととのい、皆様にはいよいよご活躍のこととお喜び申し上げます
- 各地からの花便りもにぎやかなこのごろ、お健やかにお過ごしのことと思います
- 花の香りが春風に乗って運ばれる清明のみぎり、皆様にはお健やかにお暮らしのことと存じます
- 輝かしい春を迎え、ますますご活躍のことと存じます
- 新年度を迎え、貴社には一層ご隆盛のこととお慶び申し上げます
4月中旬~下旬 の書き出しの挨拶
- 花の盛りもいつしか過ぎ、葉桜の季節を迎えました
- 暖かな春雨の降り続くこのごろ、お変わりありませんでしょうか
- 若葉の緑鮮やかな折から、いよいよご壮健のことと存じます
- 若草が萌え出す季節を迎え、皆様にはご健勝のこととお喜び申し上げます
- 吹く風も爽やかな好季節を迎え、ますますご活躍のこととお慶び申し上げます
- 春の光に新緑がまぶしく映えるこのごろ、いよいよご清祥のことと拝察いたします
- おぼろ月夜に春の風情が感じられるこのごろ、ご平安にお過ごしのことと存じます
- 春も深まり、のどかで過ごしやすい日が続きますが、つつがなくお暮らしでしょうか
- うららかな春の日差しが肌に心地よいこのごろ、お健やかにお暮らしのことと存じます
- 4月とはいえ、初夏を思わせるような陽気が続くこのごろ、お元気でお過ごしでしょうか
- 暖かな南風の心地よい好季節を迎え、皆様におかれましては、ますますご活躍のことと存じます
- つつじやたんぽぽが色とりどりの花で春の訪れを告げるこのごろ、ますますお元気でご活躍のこととお慶び申し上げます
- 桜前線が北上中のこのごろ、御地でも開花の声を聞かれましたでしょうか
- 桜前線がようやく北国にも近づいてまいりました
- 新年度の慌ただしさも落ち着き、お元気でご活躍のことと拝察いたします
- 穀雨のみぎり、お変わりなくお暮らしのことと存じます
4月の結びの挨拶
相手を気遣う言葉や、春らしい前向きなメッセージで手紙を締めくくります。
入学、就職、転勤などで環境の変わった人には、新生活への応援や、さらなる活躍を祈る気持ちを伝えましょう。
4月上旬の結びの言葉
- 花冷えの折から、体調には十分ご留意ください
- 寒暖定まらぬ折から、どうぞお身体をおいといください
- 春とはいえ朝晩はまだ冷え込む日もありますので、お体には十分お気をつけください
- 桜花爛漫の好季節に、皆様のご多幸をお祈りいたします
- 満開の桜のもと、素晴らしき門出を迎えられますよう、心よりお祈り申し上げます
- 今年度も変わらぬご厚誼を、なにとぞお願い申し上げます
- 新天地でのこれまで以上のご活躍を、心よりお祈りいたします
- 新生活が実り多きものとなるよう祈っています
4月中旬~下旬の結びの言葉
- うららかな春の日差しの下、心地よい春をお過ごしください
- 春光あまねく満ちわたる好季節、どうぞお健やかにお過ごしください
- 若草の緑まぶしい好季節に、皆様のご多幸をお祈りいたしております
- 麗春のみぎり、お健やかな日々を過ごされますようお祈りいたしております
- 花々の咲き競う躍動の春に、皆様ますますのご活躍を心よりお祈りいたします
- 新年度に入り、何かと慌ただしくなりがちではありますが、どうかご自愛ください
- 新たな職務に就かれ、何かとご苦労も多いかと存じますが、どうぞお身体をおいといください
- 北国からの花便りもお待ちしております。どうぞお元気で
4月のカジュアルな時候の挨拶
よりカジュアルでやわらかい時候の挨拶は、以下のページに掲載しています。
時候の挨拶|4月上旬~下旬の書き出しと結び|カジュアル・やわらかい表現
4月の挨拶文のキーワード
4月の行事や暦に関する言葉
- 清明(せいめい):二十四節気の1つで、新暦(太陽暦)の4月5日頃。春分後の15日目にあたる。春先の清らかですがすがしい様子を表す。
- 穀雨(こくう):二十四節気の1つで、新暦(太陽暦)の4月20日頃。穀物をうるおす春雨を表す。春の季節の最後の節気。
4月の天候や風物に関する言葉
- 春風駘蕩(しゅんぷうたいとう):春の風がのどかに吹くこと。
- 花冷え:桜の咲くころに寒さがもどって冷え込むこと。
- 花吹雪(はなふぶき):桜の花びらが吹雪のように、風に舞い散る様子を表す言葉。
- 爛漫(らんまん):花が咲き乱れるさまを表す言葉。「春爛漫」は桜の花について言う場合が多い。
- 春宵一刻直千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん):「春宵」は春の夜。春の夜はおもむきが深く、ほんのひと時で千金に値するほどすばらしい、ということ。
- 花便り:花(とくに桜)の咲いた様子を知らせるたより。現代では、桜の開花を知らせるニュースなども花便りにあたる。
- おぼろ月:ぼんやりとかすんで見える月。主に春の夜の月を表す。
- 桜前線:桜(ソメイヨシノ)の開花予想日が同じになる地点を結んだ線。3月下旬、九州から北上していき、5月上旬に北海道に至る。
- 花筏(はないかだ):花が散って水面に浮かび流れていくのを筏にたとえた表現。
- 春日和(はるびより):春の日のおだやかな晴天を表す言葉。
- 春光(しゅんこう):春の景色。また、暖かい春の日差し。
挨拶は実際の季節感に合わせて
上に挙げた挨拶文の、上旬・中旬・下旬の区分は目安です。
メッセージを書くときは、その年の実際の天候や、相手の住む地域の気候などに合わせて言葉を選びましょう。
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