手紙の書き出し例文集|ビジネスの挨拶から友達への手紙まで

手紙の書き出し(前文)には形式的な要素が多く、書くのが難しいと感じるかもしれません。

けれど、一度基本的な形式を覚えてしまえば、型に従ってビジネスレターでも、友達へのカジュアルな手紙でも、かんたんに書けるようになります。

手紙の前文を省略するケース

手紙の前文(頭語や時候の挨拶など)は、送る目的や相手との関係によって省略することがあります。

前文を書く 目上の人への手紙
前文のある手紙への返信
仕事上の手紙
前文を省略できる ご近所や親しい相手への手紙
前文のない手紙への返信
急ぎの用件
前文を書かない お見舞い(病気や災害など)
弔事(死亡通知やお悔やみ状)

目上の方への手紙や儀礼的な書簡では前文をていねいに記し、送る相手が親しい場合などには内容を簡略化したり、省略したりします。そして、お見舞いやお悔やみの手紙では原則として前文を書きません。

前文(手紙の書き出し)の構成要素

手紙の書き出し(前文)は頭語から始めて、時候の挨拶、安否に関する挨拶、感謝やお詫びの挨拶と続けるのが一般的な形式です。

  1. 頭語
  2. 時候の挨拶
  3. 安否に関する挨拶
  4. 感謝やお詫びの挨拶

頭語

頭語は手紙文の最初に書く「拝啓」「謹啓」などの言葉です。手紙の内容や差出人の性別によって使い分け、対応する結語とセットで用います。

ケース 頭語 結語
一般的な手紙 拝啓
拝呈
啓上
一筆申し上げます
敬具
敬白
拝具
かしこ
改まった手紙 謹啓
謹呈
恭啓
謹んで申し上げます
謹白
謹言
敬白
敬具
かしこ
前文省略 前略
冠省
前略ごめんください
草々
不一
かしこ
急ぎの手紙 急啓
急呈
急白
取り急ぎ申し上げます
返事の手紙 拝復
復啓
謹復
お手紙拝見しました
敬具
敬白
拝具
かしこ
再度の手紙
※返事が来る前に出す場合
再啓
再呈
追啓
重ねて申し上げます

ピンク色で示したのは、主に女性が用いる頭語と結語

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時候の挨拶

時候の挨拶は季節や折々の風物を織り込んだ挨拶文です。

1月
  • 新春の候(折、みぎり)
  • 寒冷の候
  • 寒気厳しき折から
  • 日ごとに寒さが増してまいります

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2月
  • 立春の候
  • 梅花の候
  • 立春とは名ばかりの寒い日が続きます
  • 寒さの中にも春の兆しが感じられるようになり

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3月
  • 早春の候
  • 春分の候
  • 春まだ浅い今日このごろ
  • 暑さ寒さも彼岸までと申しますが

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4月
  • 桜花の候
  • 仲春の候
  • 春たけなわですね。お花見にはもう行かれましたか
  • 花の盛りもいつしか過ぎ、葉桜の季節を迎えました

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5月
  • 新緑の候
  • 薫風の候
  • 風薫る5月となりました
  • 木々の緑が目にまぶしい今日このごろ

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6月
  • 入梅の候
  • 向暑の候
  • 衣替えの季節となりました
  • 梅雨明けが待たれる今日このごろ

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7月
  • 盛夏の候
  • 炎暑の候
  • 梅雨明けの暑さはひとしおに感じられますが
  • 海や山が恋しい季節となりました

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8月
  • 残暑の候
  • 晩夏の候
  • 立秋とは名ばかりの暑い日が続きますが
  • 残暑厳しき折ですが

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9月
  • 初秋の候
  • 新秋の候
  • 九月に入ったとはいえ、厳しい残暑が続いております
  • 秋風が心地よい時節となりました

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10月
  • 仲秋の候
  • 紅葉の候
  • 秋晴れのさわやかな日が続いております
  • 木々の葉も色づいてまいりました

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11月
  • 晩秋の候
  • 向寒の候
  • 落ち葉が風に舞う季節となりました
  • おだやかな小春日和が続いておりますが

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12月
  • 師走の候
  • 歳末の候
  • 吹く風の冷たさが身に染みる年の瀬
  • 今年も残すところわずかとなりましたが

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MEMO

「候」は「折」や「みぎり」に置き換えてもOK(例:「新春のみぎり」)。

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安否に関する挨拶

時候の挨拶の後には、先方の安否を尋ねたり、無事や繁栄を祝福したりする言葉を続けるのが一般的です。また、それに続けて自分の無事を伝える挨拶を書くこともあります。

相手の安否を尋ねる挨拶

  • いかがお過ごしでしょうか
  • お変わりありませんか
  • ご機嫌いかがですか
  • ご様子はいかがですか
  • ご健勝でございましょうか
  • お健やかにお過ごしでしょうか
  • ご無沙汰しておりますが、お元気ですか
  • 皆様ご壮健でしょうか
  • 皆様お変わりなくお過ごしでしょうか
  • お障りなくお暮らしでございましょうか
  • 相変わらずお達者にお暮らしでしょうか
MEMO

安否を尋ねる挨拶は、ある程度親しい相手への手紙に適しています。儀礼的な書簡の場合や、相手の近況を知っているときは、無事や繁栄を祝福する挨拶を使いましょう。

相手の無事や繁栄を祝福する挨拶

  • お変わりなくお過ごしのことと思います
  • お元気でご活躍とのこと、なによりです
  • ご無事でお暮らしのことと存じます
  • 皆様にはつつがなくお過ごしのことと拝察いたします
  • お健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます
  • ますますご清祥のこととお喜び申し上げます
  • 皆様にはますますご健勝のことと存じます
  • 貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
  • いよいよご発展の由、お祝い申し上げます
  • ますますお元気でご活躍の段、なによりに存じます
  • ますますご隆盛の趣、慶賀の至りに存じます
  • 皆様ご壮健の由、祝着至極に存じます
  • ご一同様にはいよいよご清栄のこととうけたまわり、賀し申し上げます

自分の安否に関する挨拶

  • 私も元気に過ごしています
  • こちらはみな、相変わらずうるさいほど元気です
  • 一同、達者に暮らしております
  • 皆いたって健康に過ごしております
  • おかげさまで、家族一同無事に暮らしております
  • 仕事に追われながらも、大過なく過ごしております
  • おかげさまで、当方もつつがなく暮らしておりますので、ご安心ください
  • おかげさまで、一同平安に過ごしておりますので、どうぞご休心ください
  • 私事ではございますが、おかげさまで家族一同無事に消光いたしておりますので、他事ながらご放念ください
  • おかげさまをもちまして、私どもも息災に過ごしておりますので、なにとぞご休心ください
MEMO

自分の安否を伝える挨拶は、相手の安否に関する挨拶を書く場合にだけ、それに続けて記します。

感謝やお詫びの挨拶

日ごろお世話になっていることのお礼や、ご無沙汰のお詫びなどを伝える挨拶です。最近お世話になったことなどがあれば、それに関する感謝やお詫びを具体的に書くとよいでしょう。

感謝を伝える挨拶

  • お世話になっております
  • 日ごろは何かとお世話になり、ありがとうございます
  • いつもお心にかけていただき、まことに恐縮です
  • この前は話を聞いてくれてありがとう
  • 先月お伺いした際は、大変お世話になりました
  • 先日は心のこもったおもてなしをいただき、ありがとうございました
  • 常々ひとかたならぬご芳情をたまわり、深謝申し上げます
  • 平素は格別のご高配にあずかり、厚く御礼申し上げます
  • 平素から温かいご厚情をたまわり、心より感謝いたしております
  • 過日はご多忙中にもかかわらず、お力添えをたまわり、誠にありがとうございました

お詫びを伝える挨拶

  • ご無沙汰しております
  • ご無沙汰ばかりで申し訳ありません
  • 久しくお便りも差し上げず、大変失礼いたしました
  • 日ごろのご疎音をどうかお許しください
  • 長らくご無音いたしましたことをお詫び申し上げます
  • 一別以来、心ならずもご無音に打ち過ぎ、申し訳ありません
  • 雑事にとりまぎれご無沙汰を重ね、心苦しく存じます
  • 先日は突然お邪魔してすみませんでした
  • 先日は長居をしてしまい、申し訳ございませんでした
  • このたびはご返信が遅れ、大変申し訳ありません
  • いろいろとお手数をおかけしており、恐縮に存じます

その他の挨拶

面識のない人への挨拶

面識のない相手に送る手紙では、時候の挨拶や安否に関する挨拶は省略し、頭語の後に以下のような言葉を続けます。

  • はじめてお手紙を差し上げます
  • ○○様からのご紹介にあずかりました△△と申します
  • 突然のお手紙、失礼いたします
  • 突然一筆申し上げる失礼をお許しください
  • 失礼ながら、はじめてお便りを差し上げます
  • はじめてお便りを差し上げます。ご無礼のほど、なにとぞご容赦ください

返信の挨拶

返信の場合は、手紙を受け取ったことを伝える挨拶を記します。時候の挨拶などは、相手や状況により省略しても問題ありません。

  • お手紙ありがとうございました
  • お手紙、うれしく拝見いたしました
  • お手紙ありがとう。懐かしく、うれしい気持ちで胸がいっぱいになりました
  • 本日、お便りを拝受いたしました
  • ○月○日付のご書面、確かに拝受いたしました
  • このたびはご丁重なご書面をいただき、恐縮に存じます
  • ご芳書を拝受し、感謝申し上げます

手紙の書き出し例文集

実際の手紙の書き出しでは、上記のすべての要素を入れる必要はありません。

頭語、時候の挨拶、安否に関する挨拶、感謝やお詫びの挨拶という基本的な形式をつかみ、それを相手や状況に応じて簡略化するようにすれば、文章をつくりやすいでしょう。

ビジネスの一般的な送り状

請求書や納品書など、日常的にやり取りするビジネス文書の送り状では、前文は頭語とかんたんな挨拶程度で済ませて、すぐに本題に入るのが一般的です。

拝啓
  貴社におかれましては、ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
  早速ではございますが下記の書類をお送りします……

お中元やお歳暮の送り状

ビジネスの取引先や、目上の方への送り状などでは、型通りに頭語から始め、時候の挨拶、安否に関する挨拶、感謝やお詫びの挨拶と続けるのが無難です。

拝啓  向暑の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
  平素は格別のご高配にあずかり、厚く御礼申し上げます。今後ともご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
  つきましては、お中元のおしるしまでに気持ちばかりの品をお贈りいたしました……

謹啓  年の瀬もいよいよ押し迫って参りましたが、ご健勝にてお過ごしのことと拝察いたします。おかげさまで、私どもも大過なく消光しておりますので、他事ながらご休心くださいませ。
  平素はご無沙汰ばかりでまことに申し訳ございません。
  本日は日ごろのご無音のお詫びと暮れのご挨拶を兼ね、○○をお贈りいたしました……

お祝いの手紙

お祝いの手紙では、相手とともに喜ぶ気持ちを伝えるため、前文はかんたんなものにして、早めに本文に入っても問題ありません。

拝啓  秋風が心地よい季節となりました。
  うけたまわりますれば、奥さまが第一子をご出産とのこと、まことにおめでとうございます……

  梅の香りが春の風に乗って運ばれてきます。
  このたびは、ご結婚おめでとうございます……

お見舞いの手紙

お見舞いなどの緊急の手紙では前文を省略します。

前略  このたびは、ご主人様が入院されたとのこと、本当に驚きました。ご容体はいかがでしょうか……

返事の手紙

返信の場合も、前文は適宜省略して本題に入ります。

拝復  主人の入院に際し、ご丁寧なお見舞い状をいただき、ありがとうございます。
  おかげさまで、手術も無事に終わり……

友達へのカジュアルな挨拶文

気の置けない友達などに手紙を送るなら、前文の挨拶はすべて省略して、カジュアルに書き始める方が自然なことも多いでしょう。

○○ちゃんへ
  ステキな誕生日プレゼント、ありがとう!
  ○○ちゃんのあったかい気持ちが伝わってきて、すごくうれしかったよ……

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