行く春

ゆくはる
晩春 4音 時候

傍題(子季語)

徂春 (そしゅん) 3音 春尽 (しゅんじん) 4音 春尽く (はるつく) 4音 春行く (はるゆく) 4音 春の果 (はるのはて) 5音 春の限り (はるのかぎり) 6音 春のかたみ (はるのかたみ) 6音 春の泊 (はるのとまり) 6音 春の名残 (はるのなごり) 6音 春の湊 (はるのみなと) 6音 春の行方 (はるのゆくえ) 6音 春の別れ (はるのわかれ) 6音 春を送る (はるをおくる) 6音 春ぞ隔たる (はるぞへだたる) 7音

解説

行く春は、春が過ぎ去ろうとしていることを表す言葉です。寒い冬の後にやってきた春だからこそ去るのが惜しい——この季語にはそういった感慨がこもっています。

似た季語に「春惜しむ」がありますが、行く春は去っていく季節そのものに、春惜しむは惜しむ気持ちのほうに重点があります。また、春の終わりを表す「暮の春」よりも、去り行く春への詠嘆、惜別がやや強く感じられます。

時期はおおむね4月の半ばから、立夏の前日(5月5日ごろ)まで。秋には「行く秋」という季語もありますが、過ごしやすい良い季節を惜しむからこそ、「行く春」は単なる説明の言葉ではなく、奥行きを持った季語になっているのです。

例句

  • 行く春を近江の人と惜しみける

    — 芭蕉

  • 行く春や鳥啼き魚の目は泪

    — 芭蕉

  • ゆく春やおもたき琵琶の抱きごゝろ

    — 蕪村

  • 行く春や一声青きすだれうり

    — 蓼太

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