鰯雲

いわしぐも
三秋 5音 天文

傍題(子季語)

鯖雲 (さばぐも) 4音 鱗雲 (うろこぐも) 5音

解説

鰯雲は薄く小さな雲が、小魚の群れやさざ波のように、半ば規則的に広がっているものです。条件が整えばどの季節にも見られますが、秋を象徴する空模様として認識されています。雲の基本的な種類を定めた10種雲形では、一般に巻積雲に分類されます。

魚のうろこのように見えることから「鱗雲」、サバの背の模様のようにも見えることから「鯖雲」とも呼ばれます。

俳人たちに愛用される季題の1つで、言葉にしがたい繊細な心の動きを詠んだ秀句が多く見られます。

例句

  • 鰯雲人に告ぐべきことならず

    — 加藤楸邨

  • 鰯雲こころの波の末消えて

    — 水原秋櫻子

  • 鰯雲昼のままなる月夜かな

    — 鈴木花蓑

  • 鰯雲ひろがりひろがり創痛む

    — 石田波郷

  • 鰯雲甕担がれてうごき出す

    — 石田波郷

  • 鰯雲個々一切事地上にあり

    — 中村草田男

  • 鰯雲予感おほむねあざむかず

    — 軽部烏頭子

  • 鰯雲日かげは水の音迅く

    — 飯田龍太

  • いわし雲大いなる瀬をさかのぼる

    — 飯田蛇笏

  • 孤児たちに清潔な夜の鰯雲

    — 佐藤鬼房

  • 妻がゐて子がゐて孤独いわし雲

    — 安住敦