稲妻

いなずま (旧仮名:いなづま)
初秋 4音 天文

傍題(子季語)

いなたま (いなたま) 4音 いなつるび (いなつるび) 5音 稲つるみ (いなつるみ) 5音 稲光 (いなびかり) 5音 稲の妻 (いねのつま) 5音 稲の夫 (いねのつま) 5音 稲の殿 (いねのとの) 5音

解説

「稲妻」は空中放電によって起こる閃光。遅れてやってくる轟音は「雷」と呼ばれます。同じ現象の両側面ですが、稲妻は音を伴わない季語であることから、これを詠んだ句の多くは静謐な印象があります。

雷が夏の季語とされるのに対して、稲妻は秋の季語です。その背景には、この雷光が稲と交わって実りをもたらす稲の夫(つま)だと信じられてきたことがあります。「いなつるび」、「稲つるみ」といった傍題もこうした伝承からきています(「つるび」、「つるみ」は性交の意)。

例句

  • 稲妻に悟らぬ人の貴(たっと)さよ

    — 芭蕉

  • いなづまや闇の方行(かたゆく)五位の声

    — 芭蕉

  • 稲妻や浪もてゆへる秋津島

    — 蕪村

  • いなづまや堅田泊りの宵の空

    — 蕪村

  • 稲妻のかきまぜて行く闇夜かな

    — 去来

  • はらはらと稲妻かかるばせをかな

    — 樗堂

  • いなづまの花櫛に憑く舞子かな

    — 後藤夜半

  • 稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ

    — 中村汀女

  • いなびかりひとと逢ひきし四肢てらす

    — 桂信子

  • いなびかり北よりすれば北を見る

    — 橋本多佳子

  • 国引の出雲の空のいなつるび

    — 深谷雄大

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